★★★ 日本再生ネットワーク 厳選ニュース ★★★

sakura4987.exblog.jp
ブログトップ

◆【「改革」あれこれ】JR東海会長・葛西敬之 民意と民主制



 (産経 2009/3/30)


 最近、日本の政治は大衆迎合に堕(だ)し混迷を深めるばかりだ。その原因は決して単純ではないが、マスメディアの報道姿勢にも責任なしとしない。この点ですぐにでも着手できることとして2つの事例を指摘したい。

 第一はあらゆる新聞やテレビが毎月1度、社によっては毎週1度行っている内閣支持率や政党支持率の世論調査である。それらの結果は政府や与党の政策に対する「民意」の審判として煽情(せんじょう)的に大々的に報道され信任の問い直しを提起したりする。一昔前の街頭デモに代わるテレビ時代の大衆動員戦術として機能しているのだ。

 「個人の意思」こそが「民主制」の原点であることは言うまでもない。それはあたかも「水」がすべての「命の源」であるのと相似する。水は器を与えられ、形を得て初めて命の源として恵みをもたらすが、器を持たない水は洪水から疫病まであらゆる災害を引き起こす厄介な存在ともなる。

 政治の場において、個々の意思は器を持たない水と同じく各人各様、時々刻々変化し定まらない。だから自らが投票して選任した代表の多数決に自らの意思を委ね、その結果を「民意」として受け入れるルールと、そのルールに対する合意が必要となる。それが民主制である。

 水の器と同じように民意の器も国から市町村に至るまでさまざまな形があるが、例えば国政選挙により4年間の信任が与えられた政府は任期中、一つ一つの行動に先立って国民の意向伺いをするのではなく、自らが国益と信ずるところに従って最善を尽くし、その結果に対する民意の審判を次の選挙で仰ぐ。それが民主制の基本ルールである。

 近ごろのように頻繁に1000人程度の世論調査を行い、その結果を見て「民意」の信任があるとかないとかあげつらう風潮は民主制の自己否定でしかない。それに振り回されてポピュリズムが横行したり与党が党内亀裂を深めたりすると政治は定見も一貫性もないきりもみ状態に陥る。

 「民意」の乱用が民主制を機能不全に陥れているもう一つの事例として、県や市町村レベルでの権能を超えた住民投票も看過できない。原子力発電所の建設、米軍基地の維持・移転問題など国の安全保障やエネルギー政策にかかわるものから産業廃棄物処理施設の設置などに至るまで数多くの住民投票が行われている。

 そもそも国家安全保障やエネルギー政策の基本などは一地域の住民感情を超え、国益に直結するものであり、本来県や市町村単位のエゴに委ねられるべきものではない。

 ところがマスコミはそれを「民意」と称して国政レベルで「民意」の信任を得た政府に圧力をかける。政府がマスメディアに配慮して尻込みすれば日本の安全保障もエネルギーの安定供給も危殆(きたい)に瀕(ひん)することになる。

 弱体化した政治のリーダーシップを立て直すのは容易ではない。しかし少なくとも「民意」がルールに基づいて信任した政府に対してマスメディアはその任期中は任せるという基本的な姿勢を堅持すべきだし、国益にかかわる問題については、地域のエゴを「民意」だとしない節度を持つべきだと思う。
[PR]
by sakura4987 | 2009-04-02 10:46

毎日の様々なニュースの中から「これは!」というものを保存していきます。


by sakura4987